ギブラーリについて

ドラッグインフォメーション

 

2023年5月改訂(第2版)の電子化された添付文書に基づき作成

2.

禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

3.

組成・性状

3.1

組成

販売名 ギブラーリ皮下注189mg
成分 1バイアル中の含量(1mL)
有効成分 ギボシランナトリウム 200mg
(ギボシランとして189mg)
添加剤 リン酸:適量
水酸化ナトリウム:適量
注射用水:適量

3.2

製剤の性状

販売名 ギブラーリ皮下注189mg
性状 無色~黄色澄明の液
pH 6.0~8.0
浸透圧比 約1.0(生理食塩液に対する比)

4.

効能又は効果

急性肝性ポルフィリン症

5.

効能又は効果に関連する注意

本剤は臨床症状及び生化学検査等により急性肝性ポルフィリン症と診断された患者に投与すること。

6.

用法及び用量

通常、12歳以上の患者には、ギボシランとして2.5mg/kgを1ヵ月に1回皮下投与する。

7.

用法及び用量に関連する注意

本剤の投与が予定から遅れた場合は、可能な限り速やかに投与を行い、以後、その投与を起点とし、1ヵ月間隔で投与すること。

8.

重要な基本的注意

8.1

本剤投与により、アナフィラキシーなどの重度の過敏症反応が起こることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置をとれる準備をしておくこと。[11.1.1 参照]

8.2

本剤投与により、ALT又はASTの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、投与開始前に肝機能検査を行い、投与開始後6ヵ月間は月1回を目安に、それ以降は定期的に肝機能検査を行うこと。重度の肝機能検査値異常や、臨床的に顕著な肝機能検査値の変動が認められた場合は、休薬又は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。本剤の投与を再開する場合は、肝機能検査値が改善したことを確認した上で、用量を1回1.25mg/kgとする等、慎重に投与を再開し、その後も患者の状態を観察しながら必要に応じて1回2.5mg/kgへの増量を検討すること。[11.1.2 参照]

8.3

本剤投与により、血清クレアチニンの上昇又はeGFRの低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査すること。[11.1.3 参照]

9.

特定の背景を有する患者に関する注意

9.2

腎機能障害患者

重度の腎機能障害患者は臨床試験では除外されている。[16.6.2 参照]

9.3

肝機能障害患者

中等度及び重度の肝機能障害患者は臨床試験では除外されている。[16.6.1 参照]

9.5

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ウサギにおいて、本剤の臨床推奨用量における曝露量未満で着床後胚損失率及び総吸収胚数の高値、生存胎児数の低値、全胚・胎児死亡並びに流産、臨床推奨用量における曝露量の3.2倍で骨格変異(胸骨の非対称、変形、化骨中心分離)が認められ、これらの所見は母動物の体重及び摂餌量の低値を伴うものであった。

9.6

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットにおいて、高用量(30mg/kg)投与時に4例中1例で乳汁中に本薬がわずかに検出されたが、母動物における血漿中濃度の1/10未満であった。ヒトでの乳汁移行に関するデータ及びヒトの哺乳中の児への影響に関するデータはない。

9.7

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

10.

相互作用

10.2

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP1A2の基質となる薬剤
リドカイン、デュロキセチン、テオフィリン等
[16.7.1 参照]
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 本剤は、肝臓でのヘム生合成経路に対して薬理作用を有することから、チトクロームP450(CYP1A2)の活性を抑制する。
CYP2D6の基質となる薬剤
ロラタジン、パロキセチン、アミトリプチリン等
[16.7.1 参照]
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 本剤は、肝臓でのヘム生合成経路に対して薬理作用を有することから、チトクロームP450(CYP2D6)の活性を抑制する。

11.

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1

重大な副作用

11.1.1

アナフィラキシー

(0.9%)

8.1 参照]

11.1.2

肝機能障害

(13.5%)

ALT増加、AST増加、γ-GTP増加等を伴う肝機能障害があらわれることがある。[8.2 参照]

11.1.3

腎機能障害

(13.5%)

慢性腎臓病、血中クレアチニン増加、糸球体濾過率減少等があらわれることがある。[8.3 参照]

11.2

その他の副作用

  5%以上 2~5%未満 1~2%未満
眼障害     結膜出血、眼そう痒症、霧視
胃腸障害 腹痛、便秘、下痢、悪心、嘔吐 胃食道逆流性疾患 消化不良
一般・全身障害および投与部位の状態 無力症、疲労、注射部位反注)(紅斑、そう痒感、発疹、腫脹、疼痛、内出血、皮膚炎、不快感及び出血)、発熱 インフルエンザ様疾患、末梢腫脹  
感染症および寄生虫症 インフルエンザ、上咽頭炎、上気道感染 胃腸炎、尿路感染 気管支炎、下気道感染、気道感染、副鼻腔炎、ウイルス感染
臨床検査 リパーゼ増加、血中ホモシステイン増加 アミラーゼ増加、血中ナトリウム減少、国際標準比増加 活性化部分トロンボプラスチン時間延長、C-反応性蛋白増加、プロトロンビン量増加、体重減少、体重増加
代謝および栄養障害   食欲減退、脱水 鉄過剰
筋骨格系および結合組織障害   関節痛、背部痛、筋肉痛、四肢痛 側腹部痛、関節腫脹、筋痙縮、筋骨格痛、頚部痛
神経系障害 頭痛、片頭痛 浮動性めまい、錯感覚、振戦 味覚異常、感覚鈍麻
精神障害   不安 抑うつ気分、不眠症、精神状態変化、パニック発作
呼吸器、胸郭および縦隔障害   咳嗽、呼吸困難、口腔咽頭痛 喘息、鼻出血、気道うっ血
皮膚および皮下組織障害 そう痒症 湿疹、紅斑、発疹、蕁麻疹 脱毛症、水疱、多汗症、爪甲剥離症
その他   過敏症、月経過多 動悸、排尿困難、月経困難症、ほてり、高血圧
注)
2例に以前の注射部位に、一過性のリコール現象である紅斑が発現した。

14.

適用上の注意

14.1

薬剤調製時の注意

14.1.1

外観に異常を認めた場合や、溶液に変色や不溶性微粒子が認められた場合は、使用しないこと。なお、本剤は、無色~黄色澄明である。

14.1.2

患者の体重に基づき、投与液量を算出すること。また、投与に必要な液量を正確に吸引できるよう、適切な小容量注射器を選択すること。

14.1.3

本剤は、1回限りの使用とし、使用後の残液は使用しないこと。

14.1.4

他剤とは混注しないこと。

14.2

薬剤投与時の注意

14.2.1

投与部位は、腹部、上腕部又は大腿部とすること。同一部位への繰り返し投与は避け、投与毎に投与部位を変えること。

14.2.2

注射部位1ヵ所あたりの最大投与液量は1.5mLとすること。

15.

その他の注意

*15.2

非臨床試験に基づく情報

ラットに本薬25、50又は100mg/kgを1ヵ月に1回皮下投与したがん原性試験において、100mg/kg投与群の雄ラットで良性肝細胞腺腫の発生頻度の増加が認められた。雄ラットに本薬100mg/kgを投与した際の曝露量(AUC)は、ヒトに臨床推奨用量を投与した場合の約42倍であった。